被災地に新たな産業を生み出すビジネスモデルとは

新しい開拓地

2011年3月に発生した東日本大震災は、被災地の農業に多大な影響を与えてしまいました。
巨大な津波の影響で海水がかなり内陸まで入り込み、塩害が発生してしまったからです。

街

一度塩害にあってしまった土地はなかなか元に戻せないと言われています。
このために、東北では米づくりも再開できないところも多いそうです。

そこで、東北に農業をよみがえらせるとともに、被災地の人たちのために雇用を確保する、復興のためのビジネスモデルが提案されました。

それが、東北に野菜工場を作るという計画でした。
この、東北に野菜工場を作るという一大プロジェクトを立ち上げたのは、日本の大手の自動車メーカーのグループ会社の関連会社なのだそうです。

この会社は、約30億円を投資して宮城県の栗原市にパプリカを生産する二つの野菜工場を作ったそうです。
また、野菜工場の従業員には、地元の被災者の人たち50人を新しく雇用し、被災地に働く場所を提供したそうです。

近々この野菜工場は、新たに第3の工場を建設する予定で、そこでも新たに20人の地元の人を雇用する予定だということです。

強みのあるビジネス

現在、日本でのパプリカの供給ルートは、その9割が韓国などの外国からの輸入に頼っているそうですが、この宮城県に新たに作られた野菜工場では、国内で生産された安心で安全なパプリカの安定的な供給を目指しているということです。

実際、こういった野菜工場で造られたパプリカは、東京のレストランなどで提供される料理に使われているのだそうです。
さらに、サラダとしてパプリカを生で食べるという人も最近は増えているので、外国産よりもずっと新鮮な国内産のパプリカを求める日本の消費者のニーズは確実に高まっているといえます。

これまで農業分野へのビジネスの参入は、安定した収益を出すのが難しいことから、日本の大企業はどうしても敬遠する傾向にあったそうです。

しかし、宮城県の野菜工場の例では、大企業である大手の自動車メーカーと、実際の工場の運営を担う中小企業が、それぞれの強みを生かしながらがっちりと連携をすることで、野菜工場のビジネスモデルをより確固たるものにしています。

自動車メーカー側は自社の自動車生産工場で発生した排熱を野菜工場に供給しているほか、新たに大規模な自家発電設備を導入し、災害発生時などの緊急事態が発生したときに、野菜工場をはじめとする周辺地域に電力を供給する計画を立てているそうです。

一方、実際に野菜工場の運営を担う中小企業側は、コンピューター管理の温室や、独自の肥料を配合した溶液でより野菜を元気に育てるための技術など、野菜を栽培するための温室の管理について多くのノウハウを持っているため、パプリカのようなデリケートな野菜や、トマトを効率よく栽培することができ、確実な収益につなげることができるのだそうです。

このため、この会社は銀行などの金融機関からの信頼もとても高く、ある大手の銀行はこの会社を有力な融資先とみなしているのだそうです。